2011年5月2日月曜日

【0502】本調査初日の概要と雑感

今日は被害認定調査の本調査初日。

午前中に仙台市の職員の方と富士常葉大学の田中聡教授から被害認定調査についてのレクチャーを受け、午後から車で移動して調査を行いました。
私たちの調査グループには、地域安全学会として東京大学目黒研究室と村松研究室が参加し、行政の応援として横浜市の職員の方々が参加されました。
午前中のレクチャーでは、被害認定調査の意義や、内閣府が示した基準とそれを仙台市が一部変更した点などについてレクチャーを受けた後、阪神淡路大震災のときに撮られた写真を使った判定練習を行いました。
午後からの調査作業は、仙台市宮城野区北部に位置する岩切地区を対象に、横浜市の職員の方と学会側の学生が2人1組のペアになり分担して行いました。調査フローに沿って担当区域内の建物を1棟ずつ回って損害の度合いを調査していきました。
約4時間半の調査の後、区役所に戻って調査後ミーティングを行い、今日の調査結果の提出と調査に関する意見交換を行いました。

今日の調査を通して、私が個人的に感じたことは大きく分けて以下の3つです。
1つ目は、制度は人間が作っているものであるということ。特に今回の調査の被害認定基準は内閣府が基準を示しているものの、それは絶対的なものではなく、各自治体の判断で基準の設定や点数の設定を行ってよいという弾力的な運用がなされていたことから、レクチャーを受けるなかで、基準と弾力的運営とのバランスの取り方について考える必要があると感じました。
2つ目は、被害程度の小さい建物がとても多いこと。普段メディアを通じて目にする被災地の建物の写真では「全壊」と判定されるような大規模な被害を受けたものが少なからず見受けられますが、レクチャーや調査を通じて、「全壊」と判定される建物の数をはるかに凌ぐ数の建物が「半壊」や「半壊に至らない」と判定されているのだという当たり前の事実を再認識しました。
3つ目は、被災地の役所に多くのリソースが足りていないこと。今回の調査でも担当者の数や設備が足りず様々な条件が限られたなかで運営されているのだということを感じ、人員や設備といった物的なものはもちろん、業務を効率化するシステムやノウハウの支援が必要なのではないかと感じました。

明日からは、丸1日かけての調査が始まります。少しでも仙台市と市民の方々の役に立ち、また、一人の建築を学ぶものとして一つでも多くのことを感じ取って帰りたいと考えています。(島)

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