2011年6月8日水曜日

【0502】 被害認定調査と支援金

 被害認定調査は、助成の上で罹災建築の解体や建て替えを優遇する傾向があるため震災時の建築の保存をむしろ阻害するものではないかという議論は以前からあります。具体的には

全壊判定  基礎支援金100万 加算金(解体時のみ支給)200万
大規模半壊 基礎支援金50万 加算金(解体時のみ支給)50万円
半壊以下  支援金無し

ただし、大規模半壊、半壊でも解体し立て替えを行うと「みなし全壊」となり全壊と同額の金額が支給される。(詳細要確認) このことから住民は地震被害を大きく見積もってもらいたいという思いを抱いている傾向があり、「みなし全壊」制度の存在からも建て替えを奨励していることがわかります。さらに、「全壊」「半壊」という言葉は、応急危険度判定の「危険」「要注意」同様特に一般の建築主にとって恐怖や不安をあおる強い言葉です。今日の田中先生の解説にもありましたが、特に伝統木構造などの木造建築は全壊判定が出されても直すことができる可能性がありますが、一般にその事実は認知度が低いと思われます。
 今日回った地域は戦後の在来木造がほとんどでドライに仕事をこなしましたが、今後保存したいと思う建物に出会った場合や、伝統木構造の町家や民家集落に当たった場合どのように対応するのがベストなのか疑問があります。建設年代で区切るのが分かりやすいですが、都市景観の保存等に重要と思われる建物には立て替えよりも修復と耐震工事を行う事を優遇する助成金制度があれば、それを判定するための学識者としての建築史家の存在意義が生きてくるのではないかと考えます。また、村松研や各自治体で行っている様な悉皆調査結果を、この制度に反映させれるシステムを構築するといった可能性もあるのではないでしょうか。(中山)

1 件のコメント:

  1. はじめまして、研究室のみなさま。
    実際に我が家に下された罹災判定からさまざまな疑問が沸きまして、ブログに書いたり調べたりしているものです。

    こちらさまには「みなし全壊」のキーワードによって導かれてまいりました。我が家のようなケースもあるということ、よろしければご笑覧頂きたく、コメントを残していきます。

    http://blog.goo.ne.jp/ki_ti31

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