2011年6月8日水曜日

【0504】応急危険度判定の危険建物

 今日も昨日と同様横浜市の職員の方とペアで仕事をさせて頂きました。街区の端の大通りに面したエリアの調査があり、鉄骨の自動車工場や販売店などが調査対象に含まれました。軽量鉄骨のアパートは木造で見るとの事でしたが、グレーゾーンなものもあり、今回は軽鉄アパートもすべて非木造で見ました。(アパート類は結果はどちらで見ても一部損壊程度でした)

 

 応急危険度判定で危険判定を受けている木造住宅がありました。被害認定調査では大規模半壊でしたが、湿式で塗り回した軒裏や壁の剥落がいつ起きるか分からない事からの危険判定であるかと思われました。基礎の被害が大きく、施工上の悪さか、地盤の悪さが原因だったのかと思われましたが、私の調査範囲ではあまり見られない状態だったので印象に残りました。

 

 鉄骨で危険判定が出ていた建物は設計上無理のある構造をしており、細い柱(軽鉄?梁はH鋼)を用い、正面を柱無しのガラス張りの店舗にし、側面は片面のみ開口を多く取り、強度上もバランスもかなり悪い上、経年による軸組みの劣化も激しく、大規模半壊の判定を出しました。

 今回ペアを組ませて頂いた横浜市の職員の方は幼少期を仙台で過ごされたご経験があり、調査担当地はかつて沼地でショウブ畑だったとか、仙台の既に見えなくなっている記憶をご存知でした。沼地だったから地盤が悪い、丘陵地を人工的に宅地造成した等、土地の記憶は土地の性質を表し、それが震災を通して改めて露呈されるということが印象的でした。人工的にあらゆるものを近代化し、土地の持っていた性質を消し去ることは、記憶の保持といった精神論のみで批判することはできない問題点を孕んでいるのではないかと感じました。
(中山)

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